マーケット 2024.03.27

【徹底解説】タイへの輸出ビジネスのメリットと必要な手続きとは?

ASEANの中でも、経済発展が著しく、ハブとなっているタイは、東南アジア進出への最初の国としてもオススメです。

本記事では、輸出先としてタイを選ぶメリットや、その際に気をつけるべき点をまとめました。海外進出を考えている方、ぜひご一読ください。

 

中小企業がタイに輸出するメリットとは?

なぜ輸出先としてタイを選ぶべきなのでしょうか?その理由をご説明いたします。

ASEANのハブ

タイは、東南アジア諸国連合(ASEAN)の中心として、経済的なハブの役割を果たしています。地理的にもASEAN諸国の中心に位置し、陸路、海路、空路を通じてのアクセスが容易であることから、タイは物流と貿易の重要な拠点となっています。

 

この地理的利点は、タイを経由して他のASEAN諸国への商品の流通を計画する中小企業にとって大きなメリットとなります。

 

また、ASEAN経済共同体(AEC)の形成に向けた統合の進展により、市場が拡大し、ビジネスの機会が増加しています。

 

外資企業向けの投資奨励制度

タイは、外資企業に対し、投資を促進するための魅力的な税制優遇措置と奨励策を提供しています。これらの措置は、タイ政府が重点を置く産業や特定地域への投資を行う企業を対象とし、新規投資の促進、技術革新の加速、及び雇用創出を目的としています。具体的には、認定プロジェクトに対して最大8年間の法人税免除や、技術革新、研究開発(R&D)、環境保護、高度技術産業への投資、地域格差の縮小に貢献するプロジェクトへの税制上の優遇があります。また、タイは多くの国と二重課税回避協定を結び、国際的なビジネス展開を支援しています。

 

これらの税制優遇措置に加えて、タイ国投資委員会(BOI)は、外資企業のタイ進出を後押しする投資奨励制度を設けています。BOIによる認定を受けた企業は、法人税免除、輸入関税の優遇、就労ビザの円滑な取得、事業用土地の所有といった多くのメリットを享受できます。これらの恩典は、特に日本企業のタイ進出を促進し、成功に導く重要な要素となっています。

 

しかし、BOI企業としての認定を受けるためには、特定の条件や規制を満たす必要があり、投資の規模や産業、地域によって優遇の内容が異なります。そのため、具体的なメリットや要件を十分に理解するためには、事前に専門家の協力を得ることが重要です。

 

東部経済回廊(EEC)

タイ政府によって推進されている東部経済回廊(EEC)は、日本企業がタイに進出する際の魅力的な選択肢の一つとなっています。前述のようにタイでは、外国投資を引き寄せるために、Board of Investment(BOI)による投資奨励制度を実施していますが、特に注力しているのがEEC地域です。EECは、チャチューンサオ県、チョンブリ県、ラヨーン県の3県にまたがり、首都バンコクの東部に位置しています。

 

EEC地域へ進出する企業には、大きな税制上の優遇措置が提供されています。これには、最大8年間の法人税免除と、その後の5年間にわたる法人税を50%免除するという二段階のインセンティブが含まれます。このような政策は、EEC地域への日系企業の関心を高め、進出数の増加に大きく貢献しています。

 

この地域は、タイ経済のさらなる発展と国際競争力の強化を目指す上で重要な役割を担っており、日本企業にとっても、タイでのビジネス展開を加速させる絶好の機会を提供しています。

 

現地に定着した日本マーケット

(出典:東京新聞 https://www.tokyo-np.co.jp/article/210103

 

タイと日本は、長年にわたり強固な経済関係を築いており、両国間の輸出入は非常に活発です。タイの輸入相手国では、日本は常に上位にランクインしています。自動車産業、電子機器、食品など、多岐にわたる分野での取引が盛んに行われています。

 

さらに、日本人観光客が多いこともあり、タイ国内には日本食レストランや日本製品を扱う店舗が多数存在し、日本マーケットが確立しています。

 

しかし、日本製品の人気は、現地の日本人に限ったことでは決してありません。タイでは健康意識の高まりから、和食がブームとなっています。また、タイの富裕層と中間層の割合は増加しており、2020年は 2010年に比べ、富裕層が約2倍の 8.2%、 中間層は約 1.1 倍の 72.1%に達すると予測されています。こうした購買力のある消費者の増加も、日本製品の需要増に拍車をかけています。

 

タイで人気の日本製品

タイでは、カップ麺やお菓子類、調味料など日本の食品が人気です。前述の通り、健康意識の高まりもあり、日本食自体への関心が高まっています。また、日本酒や日本ウィスキーも、非常に高価にも関わらず、繊細な香りと味わいが好まれ、贈答用として喜ばれています。

 

また、子供や若い女性の間では、日本のキャラクターグッズも人気があります。キティちゃんやドラえもんなどは専門ショップが存在するほどの人気ぶりで、その他にもポケモンやワンピースといったアニメキャラクター、さらにはくまモンなどゆるキャラのグッズも輸出されています。

 

さらに、日本の化粧品も非常に人気です。資生堂、KOSE、カネボウといった日本の化粧品ブランドはタイ女性の憧れの的となっています。メイクアップ用品だけでなく、化粧水や美容液といった美白用基礎化粧品も同じく人気があります。

 

タイへの輸出で注意しなければいけないことは?

実際にタイに輸出する際に、注意すべき点は3つあります。

関税

タイは下記の5種類の関税率を適用しています。

  • 一般税率、ASEAN共通効果特恵関税(CEPT)
  • 自由貿易協定(FTA)の適用税率
  • 一般特恵関税制度(GSP)
  • 世界的貿易特恵関税制度(GSTP)

 

また、タイの関税には従価税と従量税の二種類があり、ほとんどの品目に従価税が、一部に従量税が課されます。

さらに、タイは日本と経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)を結んでおり、これによって関税率が影響を受ける場合があります。

 

タイの関税制度については、下記の方法で確認することができます。

 

まず、輸出する貨物の「HSコード」の最初の6桁を確認します。

「World Tariff」は、オンラインで利用することができる関税データベースです。日本居住の場合、JETROページ(世界各国の関税率(WorldTariff) | 輸出 – 目的別に見る – ジェトロ)から無料で登録可能です。

「World Tariff」に輸出先を入力、該当するHSコードを選ぶと、税率が表示されます。

 

このように、タイの関税制度は複雑ですので、わからないことがあれば、タイの輸入事情に精通したコンサルタントに相談することをお勧めします。

 

日本の輸出規制品

主に軍事転用が可能な物品については、外国為替及び外国貿易法(外為法)により、輸出規制が掛けられています。技術の提供についても、外国為替令によって規制されています。そのため、どちらも経済産業大臣の許可がなければ、輸出することができません。

 

主な規制品は、核燃料物質・原子炉用発電装置・軍用化学製剤の原料・ロケット・水中探査装置・ジャイロスコープ・人工衛星・チタン合金・遠心分離機などです。

 

タイの輸入規制

タイでは、商務省による輸入規制として、輸入許可の取得や、証明書が必要な品目、輸入課徴金が課せられる品目などがある。その他にも、輸入が禁止されている品目もあります。

 

輸入が禁止されている品目は、中古タイヤや家庭ゴミ、賭博ゲーム機などです。

また、輸入に許可や証明書が必要な品目は、豚の臓物や金、薬品などです。

 

詳しくは、JETROのページ(貿易管理制度 | タイ – アジア – 国・地域別に見る – ジェトロ)をご覧ください。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

 

購買力が高く、日本との関係も深いタイは、輸出先として魅力的です。それだけでなく、ASEANのハブでもあるため、タイへの進出を足がかりにして、周辺諸国へと進出していくこともできるかもしれません。

 

魅力的なタイへの進出ですが、関税制度や輸出に必要な手続きなど、煩雑で難しいことも多々あります。そのため、タイへの輸出を検討している方は、現地事情に精通した専門家に相談することをお勧めします。

 

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FB GLOBAL MEDIA編集部

FB GLOBAL MEDIA編集部

最新の海外市場動向からビジネス戦略、現地での法律や規制に至るまで、多岐にわたる情報を発信しています。世界のジャパニーズファンを増やすため、日本の魅力を世界へ発信していきます。