マーケット 2024.03.27

【徹底解説】日本食ブームの世界へ、食品を輸出しませんか?

2023年の訪日外国人旅行者数は、約2,500万人でした。コロナ禍前にあたる2019年の約3,200万人には及びませんが、着実に回復しつつあります。

多くの外国人を日本に引き寄せているのは、豊かな自然・古都の雰囲気などもありますが、忘れてならないのは日本食です。2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて以来、日本食や魚介類・果物などの食材人気に拍車がかかっています。

今、世界的規模で日本ブームが起こっています。日本への旅行だけでなく、日本から輸出されている食材・食品類も大人気なのです。

和牛のような高級品から子供用のお菓子まで、日本の食品は美味しくてヘルシーという認識が広がっています。

 

日本から輸出されている食品類

日本の農林水産業は、世界各国と違って大規模化されていないため、国際競争力がないといわれ続けてきました。そんな中、第二次安倍内閣は農林水産品の輸出に力を注ぐ政策を推進、生産者や企業の努力もあり、現在では見事なまでに国際競争力を発揮するようになりました。

 

農林水産省が20232月に発表した農林水産物輸出入情報によると、2022年の農林水産物・食品輸出額は14,148億円で、前年比14.3%の伸びを示しています。

アメリカやアジア各国で、新型コロナウイルス対策として実施されていた行動制限が緩和され、円安効果も大きかったようです。

 

輸出額の上位3品目は、1位はアルコール飲料(1,392億円・前年比21.4%増)、2位はホタテ貝(911億円・42.4%増)、3位は牛肉(520億円・4.0%減)でした。

アルコール飲料に関しては、アメリカや中国での日本産のウイスキー人気が輸出を牽引し、ホタテ貝は主要生産地である北海道での生育が順調だったこと、販売単価が上昇したことが輸出額の大幅な増加に寄与した模様です。

牛肉に関しては、主要輸出先であるアメリカ向けが、前年比10.9%減少したのが影響した模様です。日本やブラジルなどの複数国枠を含む、牛肉の低関税枠が、ブラジルからの輸出急増で使い切られてしまい、関税率が上がってしまったことが響きました。

 

輸出額上位3カ国は、1位は中国(2,783億円・前年比25.2%増)、2位は香港(2,086億円・4.8%減)、3位はアメリカ(1,939億円・15.2%増)となっています。

また、シンガポール(562億円・37.3%増)・フィリピン(314億円・51.6%増)・オーストラリア(292億円・27.1%増)向けの輸出が大幅に増えています。

 

日本政府は、2030年までに農林水産物・食品輸出額を5兆円にする目標を掲げていて、成長余地の大きい品目の輸出拡大に取り組み、輸出力強化を図る政策を続けていくとのことです。

 

品目に着目すると、アルコール飲料(日本酒・ウイスキー)やお菓子類は、どこの国でも人気があります。

果物ではりんご・ぶどう・いちご、農産物では緑茶、畜産物では牛肉、水産物ではホタテ貝・ブリ・サバ・なまこ・練り物が非常に好調です。

 

輸出相手国に合わせた商品開発やアレンジ

商品を海外進出する際、輸出相手国に合わせパッケージや味をアレンジすることがあります。

ここでは、お菓子について、有名な例を二つ挙げます。

グリコのポッキー

ポッキーは、世界で年間販売個数5億箱を誇ります。

そして、その内の2億箱は海外で売り上げています。

 

江崎グリコの海外進出の第一歩は、タイでした。現地法人を設立して工場を建設し、タイを拠点に近隣国への輸出も開始します。現在では、世界約30カ国で販売されています。

 ヨーロッパでは「MIKADO」と名前を変更しました。名前だけでなく「MIKADO」の味は、日本のポッキーを深みのある味にアレンジしています。

どの国でも、手で持つ部分があったことが、好評だったようです。

 

ハイチュウ

森永製菓のハイチュウも、ひょんなことからアメリカでの人気に火が付きます。

メジャーリーガーの田澤純一投手が、ボストン・レッドソックス時代、自身が好きだったハイチュウを球場に持ち込んで食べていたところ、それを貰ったチームメイト達がハイチュウの虜になってしまったそうです。

遂には、森永製菓の現地法人とボストン・レッドソックスがスポンサー契約を結ぶに至り、ファン層にも浸透。更に、他のチームともスポンサー契約を結ぶことになり、販売店も増え、売上も増加しました。

 

ポッキーとハイチュウは洋菓子の部類になりますが、日本酒や、技術の進歩により和菓子の成功例も出てきています。

輸出相手国に合わせて自社製品をアレンジすることは、相手国の生活習慣などを熟知していないと難しい面があり、相手国に詳しいコンサルタントなどへ相談してアドバイスを得るのも一つの方法です。

 

輸出相手国での取引先企業の開拓

相手国に自社の支店を出すという選択肢もありますが、現実的にはなかなか難しいでしょう。取引先企業を見つけて、販売に関する役割を担ってもらう必要があります。しかし、信頼できる企業を見つけることは、簡単ではありません。

 

そんなときは、相手国の事情に通じているコンサルタントに相談して、候補企業を紹介してもらうほか、相手国で行われる展示会などに出展し、興味を示してくれた企業と話し合いを重ねていくと良いでしょう。

 

輸出契約について

取引先企業が決まれば、代理店契約又は販売店契約を締結し、輸出を始めます。

 

国際契約では、英文契約書にするのが一般的です。

代理店契約では、相手国代理店は、あくまでも本人の代わりに営業活動を行うもので、活動から生じる損益やリスクは売主である本人に帰属します。そのため、製品は本人から客先へ直送され、代金は客先から本人に支払われることになります。

 

一方、販売店契約の場合は、販売店が客先との契約当事者になり、輸出元との販売店契約を基に輸出元と製品の売買契約を締結し、その製品を客先に売り渡すことになります。生じる損益は、全て販売店に帰属することになります。

 

輸出手続きについて

輸出事業では、日本と相手国のそれぞれの国内法・規制に従わなければなりません。

日本から輸出する場合の規制では、外為法・外国為替令により、安全保障に関わる物品(遠心分離機など)・技術が規制されています。

相手国で輸入が禁じられている物品もありますので、よく注意しなければなりません。

特に、食品分野については、原産地証明書・衛生証明書・植物検疫証明書・輸出検疫証明書・自由販売証明書・放射性物質検査証明書・輸出相手国への残留農薬基準値への対応・輸出相手国への食品添加物規制への対応・成分表示などを示す必要があり、確認項目が多く、規制も厳しくなっています。

 

まとめ

輸出事業となると、多くの中小企業にとっては未知の領域で、面倒なことも多いと思われがちです。ただ、分からないから、面倒だからと避けていては現状を打破することはできません。

 

FBマネジメントは意欲ある地方企業の経営支援に特化したコンサルティング会社です。中小企業の皆さまの輸出事業をはじめ、グローバル展開・海外進出を全力でサポートさせていただきます。

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FB GLOBAL MEDIA編集部

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