【必読!】香港への出ビジネスのメリットとは?必要な手続きまで解説
現在、輸出ビジネスを考えるのであれば、香港も選択肢のひとつです。
なぜなら、香港輸出ビジネスでは、基本的に輸出時に関税がかからないからです。香港を拠点として、中国やASEANエリアまでビジネスを拡大することも検討してみてはいかがでしょうか。
今回は、香港への輸出ビジネスのメリット、流れについて詳しく解説します。
香港への輸出ビジネスのメリット
まずは、香港へ輸出ビジネスを行うメリットについて解説します。
自由な経済
香港では、世界で最も自由な経済が展開されており、カナダのシンクタンク「フレーザー・インスティテュート」が例年公表している「世界経済自由度ランキング」において、香港は1位を獲得しています。
香港はフリーポートなので関税はかかりません。香港における関税政策は、その自由貿易の理念と経済の自由化を反映していると言えます。
香港が中国と結んだ実質的なFTA(自由貿易協定)であるCEPAや、ASEANと結ばれているFTAを利用することで、香港を介し、中華圏であったり、ASEAN諸国への玄関口として活用できます。
参考世界経済自由度ランキング、香港が首位維持(香港) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
日本文化・日本語が受け入れられやすい
香港は日本文化・日本語が非常に受け入れられやすい場所です。
香港にある9つの大学の中で、7ヶ所に日本研究・日本語のコースが開設されています。また、現在、日本語能力試験(JLPT)の受験者数が増加傾向にあり、香港は海外のハードルをより感じにくい場所だと言えます。
香港と日本の友好関係には、以下のような歴史的背景があります。
今から150年以上前、幕末~明治維新の時代の頃、発展するために必要である資金を持っていない日本に、お金を貸してくれたのが、香港上海銀行でした。
香港上海銀行は、日本各地に支店を増やします。1866年に最初の事業拠点を横浜に設置し、続いて1869年に神戸へ、1872年に大阪へ、1896年には長崎へ支店を開設しています。
参考:日本におけるHSBC
支店を全国に増やすことによって、潤沢な資金をまだ持っていなかった日本が、外国とビジネスを行うための手助けをしてくれたのです。
親日家が多い
アウンコンサルティング株式会社が2020年に行った調査によれば、「日本が好きですか?」という質問に対して「大好き」か、「好き」と答えた香港人の割合は98.1%です。
中でも「大好き」と答えた方は全体の69.5%で、調査対象11国の中で最も高い割合です。
日本は香港人にとって人気の海外旅行先でもあり、理想の輸出対象と言えるでしょう。
参考【世界12カ国の親日度調査】日本への好感度、訪日意欲について
こんな輸出ビジネスがおすすめ
香港は日本の農林水産物・食品にとって最大の輸出先であると考えられています。
実際に香港のスーパーであったり、コンビニを見ると、日本のマーケットと遜色がないほどの日本の商品で溢れている光景があります。
その中であえてここでおすすめしたい輸出ビジネスは、酒類です。
日本産酒類の輸出額は年々増加傾向にあります。2021年の輸出金額ははじめて1000億円の大台を突破し、現在も勢いづいている状態です。
日本酒消費の中心となるのは、香港におおよそ1,000店以上もある日本食レストランです。そのなかでも、高級日本食レストランにおいて、様々な日本酒の銘柄が豊富に取り揃えられています。
商用で出張する方々の特に多い香港では、日本酒レストランが接待の場として使用されることが多くあり、需要の高さは今後も期待することができます。
香港輸出の必要な書類とは
ここでは、香港輸出ビジネスに必要となる書類について解説します。
インボイス(仕入書)
インボイスは税関が輸出許可を判断するための書類です。
- 品目名
- 数量
- 価格
- 支払い方法
- 発送人および荷受人の住所、氏名、または名称
……などの情報が記載されています。
パッキングリスト(梱包明細書)
パッキングリストは、インボイスの補助として考えればいいでしょう。
貨物の個数、重量、体積が記載されています。
シッピングインストラクション(船積依頼書)
シッピングインストラクションは、通関業者が船荷証券(Bill of Lading)、また、航空運送状(Air Way Bill)を作成するため必要となる書類です。
シッピングインストラクションをもとにして、船荷証券が発行されます。シッピングインストラクションに決まった書式はないのですが、作成日、 荷送人(Shipper)、 B/LやWaybillに記載する荷受人(Consignee)、着荷通知先(Notify Party)など主要項目はほぼ共通しています。
委任状
通関業者に通関手続きを委託する場合には、当該輸出内容に関した通関処理委任状を作成して、通関業者に提供しなければなりません。
香港へ輸出の流れを解説
続いて、香港へ輸出を行う上での流れについて解説します。
輸出規制の確認
まずは、香港への輸出を考えている製品が、日本側の輸出規制に則ったものであるかをチェックする必要があります。
リスト規制
リスト規制とは、武器や大量破壊兵器など危険性のある品の輸出を規制するためのものです。
15品目が規制されています。
1 武器 | 8 コンピューター |
2 原子力 | 9 通信関連 |
3 化学兵器 | 10 センサー・レーザー等 |
3の2 生物兵器 | 11 航法関連 |
4 ミサイル | 12 海洋関連 |
5 先端材料 | 13 推進装置 |
6 材料加工 | 14 その他 |
7 エレクトロニクス | 15 機微品目 |
キャッチオール規制
キャッチオール規制とは、リスト規制に該当しない品であったとしても、その用途と需要者の内容に基づいて、大量破壊兵器や通常兵器の開発などに使用される恐れがある場合に行う規制です。
内容は、安全保障貿易管理について(経済産業省貿易管理部)で確認することができます。
輸入規制の確認
香港で輸入が許可されている品であるかどうかをあらかじめ確認しておきましょう。
輸入禁止品
香港だけでなく世界で輸出ビジネスを行おうと思えば、世界共通して輸入が禁止されている品があるため、それが何かをチェックする必要があります。
それは、
- 麻薬、覚醒剤
- 児童ポルノ
- 特許権、著作権、を侵害する物品
などです。
また、特定の貨物の輸出に対して、許可、承認等が必要なものがあります。外国為替及び外国貿易法での武器・化学兵器、麻薬、ワシントン条約該当物品など、また、文化財保護法での重要文化財、天然記念物などです。
参考輸出入禁止・規制品目 : 税関 Japan Customs
確認が必要な品
また、輸入はすることができても、追加で確認や証明をしなければならないようなものがあります。
例えば、食品を販売しようと思えば、ライセンスの取得が必要となり、必要に応じ香港衛生局の許可を申請する必要が出てきます。 ライセンスの提出書類(FORMS)は工業貿易署(Trade and Industry Department)という場所で購入できます。
契約の締結
輸出ビジネスを行うためには、取引条件をあらかじめ決定しておく必要があります。スムーズな輸出を行うために、最低限下記の内容は契約書で網羅しておきましょう。
- 商品の価格
- 通貨と決済方法
- 配送時期と品質
- 数量
- 輸送方法
- 梱包方法
- 問題発生時の対応
輸送手配
次は、香港への輸送方法を検討します。
発送方法は、大きくは、「航空輸送」と「船舶」の方法を考えることができます。
航空輸送であれば、運送業者が貨物を集荷、エアポートに輸送をします。エアポートに貨物が搬入されれば、運送業者が貨物の検品をし、「AWB(Air Way Bill)」を貼りつけ、保税区域に貨物を搬入します。これは航空貨物運送状のことで、航空貨物を運送する際、荷送人と運送人との間で貨物の運送契約が締結されたことを示す書類です。搬入した後、申告した内容に問題がなければ、航空便に貨物を載せて香港へ発送されていきます。
海上輸送であれば、運送業者が何も入っていないコンテナを指示された場所まで運んでいきます。コンテナに貨物を積み込み、運送業者が出港地のコンテナヤードにコンテナを搬入します。コンテナが搬入された後、保税地域等の所在地を所轄する税関長へ輸出申告をし、申告した内容に問題がなければ、船に貨物を積み香港へ出港します。
所要日数は、目安として船舶は5日程度、航空の場合は1日かかります。
重さ100㎏の貨物を香港へ輸出したとき、おおよそ、航空は、20,000〜30,000円の費用がかかるのに対して、船舶は、10,000〜20,000円です。
参考海上・航空輸送の特徴!どっちで輸送するのが最適? | Worldship Search
輸出入関税について解説
香港への輸出ビジネスのメリットは、原則的には、すべての物品を関税なしで輸入できることです。(*輸入した日から14日以内に税関申告を行う必要があります)
ただし、例外もあり、
- 酒類
- タバコ
- 炭化水素油(ガソリン、軽油)
- メチルアルコール
に対しては、関税が課されているため注意してください。
まとめ
以上、香港への輸出ビジネスのメリットや、輸出がどのような流れで行われるのか、ポイントなど述べて参りました。香港への輸出ビジネスには様々なメリットがあるのですが、少なくとも国内での販売とは違って、海外への輸出ビジネスには大小のリスクがともなう認識が必要です。そのためにも、ぬかりのない準備を心掛けるようにしてください。事前に輸出関連の規制や手続きについて充分に熟知・検討した上で輸出ビジネスを進めることが何よりも大切です。
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FB GLOBAL MEDIA編集部
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