海外進出 2024.03.28

オーストラリア市場への輸出:南半球のビジネスチャンスを探る

両国の長い経済的な関係から、日本の製品がオーストラリア市場において重要な位置を占めることはご存知ですか?日本の高品質な製品や伝統的な工芸品は、オーストラリアの消費者に広く愛されています。特に、食品や飲料などの日本の製品は高い評価を受けています。今回は、オーストラリアへの輸出市場における様々な動向や成功事例について探っていきましょう。

オーストラリア市場の概要と魅力

1992年から2019年までの28年間、オーストラリアは安定した経済成長を遂げてきました。2020年は新型コロナウイルスの世界的な流行により、景気後退に見舞われましたが、2021年以降は経済が正常化し、プラス成長に回復しており、今後も、オーストラリアの経済は着実な成長が期待されています(出典:フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社)。

オーストラリアの実質GDP成長率を分析すると、人口増加が大きく寄与していることが分かります。人口増加がGDPの下支え役として機能し、長期的な経済成長の原動力となっているということです。特に、オーストラリアの人口増加率はインドよりも高く、移民受け入れなどによる人口増加が経済成長に大きく貢献しています(出典:フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社)。

また、オーストラリアは観光資源も豊富です。オーストラリア貿易投資促進庁「オーストレード」の観光調査部(TRA)によると、外国人訪問客数は増加し、2023年には730万人を超えました。2024年には930万人に達し、2025年には1,020万人と史上最高を記録する見通しです。外国人訪問客が消費する支出額も増加し、2023年には286億豪ドルに達し、2025年には更に増加すると見られています(出典:NICHIGO PRESS)。

また、オーストラリアの1人当たりの名目GDPは高く、最低賃金も日本より高いため、オーストラリアの消費者には購買力があると言えます。オーストラリア市場は日本の輸出企業にとって魅力的な市場と考えられています(出典:JETRO)。

輸出企業にとってのオーストラリア市場の重要性

日本とオーストラリアの経済関係は、両国にとって非常に重要です。オーストラリアにとって日本は第2位の貿易相手国であり、日本の積極的な輸出がオーストラリアの経済の発展に寄与しています(出典:外務省)。

1957年に締結された日豪通商協定以来、両国の経済関係は発展を続けており、2015年に発効した日豪経済連携協定(EPA)は、その発展をさらに加速させるものです。この協定により、両国間の貿易の自由化が進み、関税の撤廃や貿易の促進が行われ、企業や消費者の両方にとって大きな利益をもたらしています。(出典:外務省)。実際にEPAには、資源や食料の安定供給、日本製品の流通促進などの市場メリットがあり、EPA発効後は、両国間での貿易取引量が増加し、両国の貿易関係は更に発展しています(出典:シゴ・ラボ)。

また、地理的には、オーストラリアはアジア諸国との経済関係が深い立地にあります。アジア太平洋地域の21の国と地域が参加しているAPEC(アジア太平洋経済協力)は、オーストラリア首相の提唱で生まれたものであり、アジア太平洋地域との関係強化はオーストラリアにとっても重要な政策課題です。

日本とオーストラリアの経済関係は、これまでの歴史や地理的要因、政府間の協力など、多岐にわたる要素が絡み合って形成されています。両国は相互に利益を補いつつ、ともに経済成長を達成するために緊密に連携しています(出典:貿易.com)。

オーストラリア市場の特徴

オーストラリアでは、オーガニック食品が高い人気を誇っています。青果売り場では通常の栽培方法で生産されたものよりも1.5〜2倍の価格で販売されているオーガニック商品がよく見かけられます。(出典:Wealth)。

また、化粧品市場でもオーガニック製品が人気を集めており、特にオーストラリアの化粧品市場は今後5年間で年平均成長率6.95%を記録すると予測されています。消費者の意識が高まり、オーガニックやナチュラルな化粧品への関心が増していることも、この市場の成長を後押ししています。(出典:Mordor Intelligence)。

輸出商品の選択と戦略

では、これからはどんな商品が需要を伸ばすのでしょうか?

先に挙げたオーガニック食品や化粧品はもちろんのこと、近年のオーストラリア市場では、日本の日用品、特に高品質な包丁や陶磁器などのキッチン関連の商品が人気となっています。これに伴い、これらの商品を扱う小規模な専門店やECサイトも増加している傾向にあります(出典:JETRO)。

また、オーストラリアの人口約2500万人のうち、4人に1人がオーストラリア国外生まれであり、都市や地域によって民族構成が大きく異なります。このため、エリアマーケティングを行う際には、言語、宗教、人種、文化の違いを考慮した戦略が必要です。例えば、日本食の輸出戦略を考える際には、アジア系オーストラリア人と欧米系オーストラリア人といった民族構成の違いを踏まえた市場調査が重要です。オフィス街や学生街などの「エリア属性」とそこに住む人々の「民族構成」を組み合わせた戦略が、輸出成功のカギとなります(出典:海外ビジネスナビ)。

オーストラリアへの輸出手続きと規制

オーストラリアへ輸出する際には、以下の手続きや規制を考慮する必要があります。

①輸出許可申請

 輸出が制限されている品目により申請先が異なります。

②必要書類等

 輸出申告書、商業用インボイス、パッキングリスト、船荷証券、特定品目の証明書などが必要です。

③査証

 不要

となっています(出典:JETRO)。

オーストラリア市場における新たなビジネスチャンスと成長分野

オーストラリアは、日本からの農林水産物・食品の輸入先として重要な市場の一つです。2022年のデータによれば、オーストラリアは日本にとって国別輸出額で10位(2022年は約22億円)に位置しています。(出典:輸出相手国上位10カ国の推移(年ベース))清涼飲料水(約2,2兆円)、ソース・調味料(約17億円)、アルコール飲料(約14億円)、ホタテ類(約8億円)などの加工食品が、日本からオーストラリアに輸出されています(出典:JETRO)。

オーストラリア市場では、価格帯が高く、高付加価値な日本製品に対する需要が高まっています。これは、オーストラリアの物価水準が元々高いためであり、高品質な日本製品が消費者にとって魅力的な選択肢となっていることを反映しています。

成功事例

オーストラリア市場における日本の食品産業からの輸出は、成功事例として際立っています。特に、日本酒の需要が急速に拡大しており、多くの日本酒ブランドがオーストラリア市場に進出しています。また、健康志向の高まりや日本文化への関心の増加も、この需要拡大の一因として挙げられます。

福井県にある創業270年の老舗「久保田酒造(資)」は、民間の支援団体や自治体の商談会を活用し、オーストラリアへの継続的な輸出に成功している企業の一つです(出典:農林水産省)。

同様に、日本の伝統的な食品や和食文化もオーストラリア市場で人気を博しています。寿司、刺身、和菓子などの日本の食品は、その美味しさや健康性が評価されています。また、日本の食品業界が注力している健康食品やオーガニック食品などの分野も、オーストラリアの消費者に受け入れられています。

山梨県にある「株式会社はくばく」は、うどんやそばなどのオーガニックな乾麺を製造販売しており、値段も安く品質も高いため、オーストラリアでは圧倒的なシェアを誇っています(出典:JETRO)。

オーストラリア市場における将来の展望

以上、オーストラリア市場への輸出について述べて参りました。オーストラリア市場の将来の展望は、今後の経済成長の持続と人口の増加・多様化に基づいています。特にアジア太平洋地域との経済的結びつきが、オーストラリアの安定的な成長を支え、消費者の健康志向の高まりが新たな輸出の機会をもたらすと予想されます。

適切なアプローチをオーストラリアの市場に対して行うことで、日本製品の輸出を成功に導くことができるでしょう。FBマネジメントは、意欲ある地方企業の経営支援に特化したコンサルティング会社です。商談時の通訳やバイヤーとのマッチングをはじめ、自社メディア【日本の逸品100】やYouTubeチャンネルを掛け合わせた独自支援を行なっています。オーストラリア市場への輸出などで、中小企業のグローバル展開・海外進出をお考えでしたら、ぜひ一度ご相談ください。

FB GLOBAL MEDIA編集部

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