海外進出 2024.03.27

今がチャンス!世界が注目し始めている納豆。輸出のメリットとデメリット

日本の納豆は世界でも高品質として知られていますが、その一方で日本の納豆の輸出量は比較的少ないという現状があります。

 

今回は日本の納豆の特徴を理解し、将来的な日本の納豆の輸出量増加に向けた展望をお話させていただきます。

 

日本の納豆

納豆は、日本で伝統的に製造されている、大豆に納豆菌を加えて発酵させた食品です。なぜ日本の納豆は特別なのでしょうか?その理由をご紹介いたします。

 

まず、納豆の栄養価が高いことが挙げられます。納豆は大豆が主成分であり、たんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。さらに納豆菌による発酵過程で精製されるビタミンK2は、カルシウムと一緒に摂ることで、骨粗しょう症の予防や骨の強化に役立ちます。

 

次に、納豆には独特な風味があります。その独自の味わいは、発酵によって生成されるアミノ酸や香り成分に起因しており、その風味と粘り気が日本の納豆の特徴と言えます。

 

さらに、納豆は健康効果が期待される食品でもあります。大豆イソフラボンやナットウキナーゼなどが含まれ、これらは健康に良いとされています。例えば、大豆イソフラボンは女性ホルモン様の作用を持ち、更年期症状の緩和に寄与するとされており、ナットウキナーゼは血栓溶解作用が期待されています。

 

これらの要素が組み合わさり、日本の納豆は世界中で高く評価されています。

 

日本の納豆が人気の国

日本の納豆はアジア圏の一部の国々で人気がありますが、残念ながら他の国では一般的ではありません。しかし、納豆が輸出統計品目番号に新設された2017年から年別に見ると、2022年までの6年間で全国の輸出数量は約1.8倍に増加していることが分かります。

 

東京税関の発表によると、2022年の日本全体における納豆の輸出数量を輸出国別に見ると、1位が中国で930,650kg、2位がアメリカで869,685kg、3位が香港で298,465kg、4位が台湾で194,782kg、5位が韓国で169,239kgと続きます。アメリカへの輸出量が多いのは、在留邦人や日系法人が多く、需要が高いためとされています。

 

そんなアメリカでは、NYタイムズも善玉菌を含む食品として納豆に注目し、ビタミンKの含有量も魅力として挙げています。フランスでは、リヨンの見本市で紹介された粘らない納豆が大好評で、連日2,000食が完売するほどの盛況を見せています。中国では、情報番組で「日本人の長寿のカギは納豆」と紹介され、特に健康意識が高い富裕層を中心に人気が上昇しています。韓国では、2005年に韓国食品メーカーが参入し、2016年にはその規模が10年前の10倍、24億5千万円に拡大しています。

 

このように、日本の納豆の消費量は世界規模で見ても上昇傾向にあります。

 

日本の納豆の特徴

日本の納豆にはいくつかの特徴がありますので、これからご紹介していきます。

 

第一に、栄養価が非常に高い点が挙げられます。納豆特有の臭いやネバネバ感は、日本食の中でも賛否両論が激しい食品である理由ですが、「納豆どきの医者知らず」とまで言われています。さらに納豆には胃ガン予防や雑菌抑制の効果があり、特にナットーキナーゼは血栓を溶かし、脳卒中や動脈硬化の予防にもつながります。

 

第二に糸引きが強い点が挙げられます。日本の納豆はアジアやアフリカのものと比較しても、糸引きが強く、これが「糸を引いてこそ日本の納豆」とのこだわりに繋がっています。このネバネバ感は、納豆菌がタンパク質を分解し「ポリ-γ-グルタミン酸」を生成する過程で生まれ、アミノ酸が連なり、糸を引く特徴的な構造が生まれます。

 

第三に、納豆に使われている大豆に複数の種類がある点です。納豆に使われる大豆は主に3種類あり、それぞれ味や香りに違いがあります。

黄大豆:納豆に主に使われる定番の豆。クセがなく食べやすい

青大豆:油分が多く、甘味が強い。納豆のほかに煮豆やきなこの材料として使われる

黒豆(黒大豆):納豆特有の臭いが少ないため食べやすい。歯応えを感じられる

世界から見た日本の納豆

日本の納豆は世界で健康食品として認知され始めています。

 

イギリスのBMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)に掲載された医学論文では、発酵性大豆食品の摂取量が増加すると、死亡全体のリスクが低下する傾向が見られたと報告されています。さらに、納豆の摂取量が増えるほど循環器疾患死亡リスクが低いという関連性も報告されています。

 

また、妊娠中に毎日納豆を摂取した母親から生まれた子どもは、納豆を摂取しない母親の子どもと比較して、アトピー性皮膚炎になりにくい傾向が約3.5倍も認められたというデータもあります。さらに、定期的に納豆を食べる子どもはO-157感染のリスクが低いと示唆するデータもあります。

 

一方で、日本の納豆は世界的に見てやはり好みが分かれる食品であり、健康促進効果は認められているものの、その独特な風味やネバネバ感に苦手意識を抱く人も多いため、その評価は個人差があります。

 

総じていえるのは、納豆は優れた健康食品として国際的に認知されており、世界中で注目を集めている食品であるということです。

 

日本の納豆を海外に輸出する際のメリット、デメリット

納豆の輸出にはいくつかのメリットとデメリットが存在します。

 

メリットとして、まず輸出による収益増加が挙げられます。先述したように、納豆の市場規模はアジアやアメリカを中心に拡大傾向にあります。そのため、納豆の輸出ビジネスによって今後も安定した収益を見込むことができます。また、納豆は冷凍することで180日程度持つため、輸出に適していることも挙げられます。食べる前に冷蔵庫に入れ約1日おけば美味しく食べることができます。

 

一方、デメリットとしては、現状納豆に関する国際規格が存在しないため、品質について国際的な証明ができない点が挙げられます。また、国によってはコールドチェーン(冷蔵冷凍輸送)のインフラが整っていないため、輸送や販売ができない場合があります。さらに、付属のタレやからしに含まれている食品添加物の一部は使用が認められていない国があるため、輸出ができないリスクもあります。使用が許可されている食品添加物の種類は国により異なるため、注意が必要です。

 

メリットはもちろん、注意しなければならないデメリットもあるため、上記を十分確認し、輸出計画を十分に検討することが重要です。

 

日本の納豆の輸出量増加に向けた今後の展望

いかがでしたでしょうか?

 

アジアやアメリカを中心とした海外で市場規模が拡大している納豆は、輸出品として魅力的です。

しかし、国際規格が整っていない点や、輸出が認められないケース・国がある点など、注意が必要なことも多々あります。そのため、納豆の輸出を検討している方は、食品輸出事情に精通した専門家に相談することをお勧めします。

 

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FB GLOBAL MEDIA編集部

FB GLOBAL MEDIA編集部

最新の海外市場動向からビジネス戦略、現地での法律や規制に至るまで、多岐にわたる情報を発信しています。世界のジャパニーズファンを増やすため、日本の魅力を世界へ発信していきます。