海外進出 2024.03.27

【徹底解説】韓国への輸出ビジネスのチャンスと課題とは?

2018年頃から韓国で「No Japan(日本製品を買わない、使わない、日本に行かない)」運動が展開されて以来、日韓関係は冷え込んでいましたが、2022年5月に尹錫悦政権が発足してから一転して、改善に向かっています。そのため、韓国への輸出ビジネスを検討されている方にとっては、今は絶好の機会と言えるでしょう。

 

本記事では、韓国への輸出を検討すべき理由や、韓国で人気の日本製品、韓国への輸出手続き、輸出入規制について解説します。

 

韓国への輸出を検討すべき理由

1つ目の理由は、経済規模です。韓国の人口は約5,156万人、名目GDPは1兆6,643億ドル(出典:2022年、韓国銀行)と、日本の経済規模には及ばないものの、韓国には世界第13位の経済規模があります。加えて、2024年1月に国際通貨基金(IMF)が発表した世界経済見通し(WEO)では、2023年は1.4%だった韓国の実質GDP成長率が、2024・2025年には2.3%に上昇すると予想しています。

 

2つ目は、関税の軽減・免除が受けられるからです。日本と韓国の間では、RCEP協定(地域的な包括的経済連携協定、2022年発効)が締結されており、日本から韓国への上位輸出品目の多くで段階的に関税が引き下げられ、10年後には全ての品目が無税となります。これが、日韓貿易の起爆剤となることが期待されています。

 

3つ目は、日本への友好ムードの高まりです。韓国では、2023年頃から積極的に日本製品を買ったり、日本に旅行したりする「イエスジャパン現象」が起きています。日本のアニメやJ-POP、食文化が再び注目を集めており、若者の間では日本語と韓国語を混在させる「ハンボノ」という話し方も流行しています。また、2023年4月に訪日外客の中で韓国からの観光客が最多の46万7,000人(出典:2023年、日本政府観光局)になるなど、韓国からの観光客が増加しています。このような友好ムードは、輸出ビジネスの追い風になるでしょう。

韓国で人気の日本製品

 

韓国へ何を輸出するべきか考えるとき、現在、韓国で人気の日本製品は何か確認しておくことが重要です。

 

本章では、韓国で人気の日本製品をご紹介したいと思います。

 

まずは、食品です。韓国では、ビールやウイスキー、ウスターソースやドレッシングといったソース混合調味料、抹茶味の菓子、ラーメン、カップ焼きそばなどが人気です。特に、ビールとウィスキーの人気が顕著で、韓国関税庁が2023年12月に発表した輸出入統計によると、2023年の日本からのビールの輸入額は82億円(5551万ドル)となっており、前年の4倍近くまで増えています。両国の関係改善や不買運動の沈静化、韓国国内における中国産ビールの低迷などの影響により、日本のビールの需要が高まっているようです。ウイスキーの対日輸入も増加しており、2022年の日本からのウイスキー輸入額は415万ドル、日本円にして6億円に上っています(出典:韓国貿易協会「K-stat」)。韓国では現在、20・30代を中心にハイボールブームが起こっています。その中で、日本のウィスキーは比較的安く買うことができるため、人気を集めています。

 

他には、化粧品や市販薬、健康グッズ、文房具、アニメ・ゲーム関連商品などが人気です。

韓国への輸出手続きについて

日本と韓国との間の輸出入業は自由化されているため、輸出入業者のライセンスは必要ありません。

但し、社団法人韓国貿易協会から貿易業固有番号を取得する必要があり、輸出入時には商号名と併せて貿易固有番号を記載する必要があります。

韓国への輸出の流れ

韓国への輸出の流れは、概ね下記のようになります。

①物品が、輸出入規制の対象外であることの確認

②契約締結

③運送業者による通関手続きと運送(航空便・船便)

④韓国での輸入通関(関税の納付後、輸入許可)

⑤到着した物品の検品と代金決済

韓国への輸出時の必要書類

通関業者に通関手続きを依頼する場合は、下記5点の書類が必要です。

①インボイス(契約当事者・物品名・数量・物品価格などを記載)

②パッキングリスト(物品の梱包方法・個数・重量などを記載)

③シッピングインストラクション(輸送日程・輸送船・港などを記載)

④委任状(通関業務者への委任状)

⑤法令確認書類など(必要に応じて輸出許可証を添付)

 

自社で通関手続きを行う場合は、下記2点の書類が必要です。

①輸出申告書(輸出の申告書)

②保険証券(主に船便の場合)

 

日本から韓国に輸出する場合の規制

主に軍事転用が可能な物品については、外国為替及び外国貿易法(外為法)により、輸出規制が掛けられています。技術の提供についても、外国為替令によって規制されています。そのため、どちらも経済産業大臣の許可がなければ、輸出することができません。

主な規制品は、核燃料物質・原子炉用発電装置・軍用化学製剤の原料・ロケット・水中探査装置・ジャイロスコープ・人工衛星・チタン合金・遠心分離機などです。

 

韓国の輸入規制

韓国は、5つの輸入規制を行っています。そのため、韓国への輸出を検討されている方は、事前にどのような輸入規制があるか確認しておきましょう。

 

対外貿易法による輸出入制限品目

輸出入公告において、軍事用装置など輸出入禁止・制限品目が定められています。

 

関税法による税関確認事項

特定の品目の輸出入については、許可・承認・表示などの条件を具備しなければならず、税関長によってこれらの条件を具備していることを確認されます。

 

原産地表示品目

対外貿易法や関税法などにより、原産地表示対象品目や表示方法などが定められています。

 

植物防疫法による輸入禁止植物・禁止地域

植物防疫法上、輸入禁止品目・禁止地域・禁止病害虫が定められています。

 

輸入地域規制

一般に輸入地域規制はないものの、対外貿易法による貿易に関する制限など、特別措置を講じる場合があります。韓国は日本に対して、福島県・茨木県・宮城県・岩手県・青森県・群馬県・栃木県・千葉県産の全ての水産物を輸入禁止しています。

 

各規制の詳細を確認したい方は、コチラをご覧ください。

 

まとめ

いかがでしたか。

 

韓国は、世界第3位の経済規模を持つ国であり、2024・2025年は実質GDP成長率が上昇すると予想されています。加えて、日本と韓国はRCEP協定を締結しており、比較的自由に貿易を行うことができます。さらに、最近の韓国における友好ムードの高まりにより、日本製品等への注目が集まっています。このような状況は、韓国への輸出ビジネスを検討されている方にとって、絶好の機会と言えるでしょう。

ただし、輸出時に必要な書類の作成や、通関手続き、両国の輸出入規制など、煩雑で分かりにくいことも多々あります。韓国への輸出を検討していて、これらに関して疑問や不安を抱えている方は、専門家に相談することをおすすめします。

 

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FB GLOBAL MEDIA編集部

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